引きこもり令嬢の契約婚約
『元気か、エリオット。珍しく神妙な顔をしているな』
「当たり前だよ。僕の大事な人が行方不明なんだ」
『それはホワイティから聞いた。今俺はオスニエルと一緒にいてな。どうせ今晩アルドリッド辺境伯家に行く予定だっただろう。一緒に連れてきた』
「だから、時間を止めたのかい?」
聖獣が空を飛んでいるのが見られるだけでも大事なのに、それに他国の王が乗っていればなお大騒ぎになる。
だからこそ、誰にもわからないよう時を止めて移動したということだろう。
しかし、周辺の時をすべて止めるなど、並大抵のことではない。
それができるだけの強い力がドルフにあることに、エリオットは驚嘆し顔を引くつかせた。
「それにしても、この山の中に入ったところで、逃げることなどできないだろうに」
ぽそりとエリオットがつぶやくと、オスニエルが神妙な顔をする。
「実は……この山の中には、整備された道路とは別の抜け道がある」
「は?」
「過去の戦時中にオズボーン軍が一部道を作り、待機場所として塹壕を掘ったことがある」
予想外のセリフに、エリオットは目を見開いた。
「だってここはブライト王国内ですよ?」
「当時、このあたりまでは、簡単に侵攻できたんだ。この山がある以上、ブライト王国の主戦力が王都からくる場合、ここを通るだろう? だから待ち伏せするのに使えると思ったんだ。実際に使う前に終戦したが……」
怖いことを聞いてしまった。当時、ブライト王国への侵攻の指揮を執っていたのは、ほかならぬオスニエルだ。聖獣の力で守っていたものの、単純に武力だけで戦えば、きっと負けていただろう。
「なんてことを……というか、それを把握していないのはまずい。アルドリッド辺境伯にもきつく言わなくては」
思わずじろりと睨めば、オスニエルは気まずそうに視線を逸らす。
「悪かったよ。だが、戦時中のことだ。こちらも兵士の命がかかっているものでな」
「でも、ということは……」
「そう。その道にまで出られれば、あとは楽に移動できるはずだ。塹壕でなら休憩もできる」
「……詳しい場所を教えて下さい!」
『俺が乗せていこう』
エリオットはオスニエルと共にドルフの背に乗る。さすが最強の聖獣。男二人を乗せてもびくともしない。
「当たり前だよ。僕の大事な人が行方不明なんだ」
『それはホワイティから聞いた。今俺はオスニエルと一緒にいてな。どうせ今晩アルドリッド辺境伯家に行く予定だっただろう。一緒に連れてきた』
「だから、時間を止めたのかい?」
聖獣が空を飛んでいるのが見られるだけでも大事なのに、それに他国の王が乗っていればなお大騒ぎになる。
だからこそ、誰にもわからないよう時を止めて移動したということだろう。
しかし、周辺の時をすべて止めるなど、並大抵のことではない。
それができるだけの強い力がドルフにあることに、エリオットは驚嘆し顔を引くつかせた。
「それにしても、この山の中に入ったところで、逃げることなどできないだろうに」
ぽそりとエリオットがつぶやくと、オスニエルが神妙な顔をする。
「実は……この山の中には、整備された道路とは別の抜け道がある」
「は?」
「過去の戦時中にオズボーン軍が一部道を作り、待機場所として塹壕を掘ったことがある」
予想外のセリフに、エリオットは目を見開いた。
「だってここはブライト王国内ですよ?」
「当時、このあたりまでは、簡単に侵攻できたんだ。この山がある以上、ブライト王国の主戦力が王都からくる場合、ここを通るだろう? だから待ち伏せするのに使えると思ったんだ。実際に使う前に終戦したが……」
怖いことを聞いてしまった。当時、ブライト王国への侵攻の指揮を執っていたのは、ほかならぬオスニエルだ。聖獣の力で守っていたものの、単純に武力だけで戦えば、きっと負けていただろう。
「なんてことを……というか、それを把握していないのはまずい。アルドリッド辺境伯にもきつく言わなくては」
思わずじろりと睨めば、オスニエルは気まずそうに視線を逸らす。
「悪かったよ。だが、戦時中のことだ。こちらも兵士の命がかかっているものでな」
「でも、ということは……」
「そう。その道にまで出られれば、あとは楽に移動できるはずだ。塹壕でなら休憩もできる」
「……詳しい場所を教えて下さい!」
『俺が乗せていこう』
エリオットはオスニエルと共にドルフの背に乗る。さすが最強の聖獣。男二人を乗せてもびくともしない。