引きこもり令嬢の契約婚約

「うわぁ!」

 誰かの叫び声に、深い眠りに落ちていたセアラの意識が浮上してきた。

「くそっ、なんだよお前ら、いつの間に。いったいどうして」
「はっ、聖獣の加護者を甘く見過ぎだ」
『オスニエル、お前には加護は与えてないだろう。それよりお前……少女じゃなくて少年か。いったい何が目的でセアラをさらった?』

(知らない人の声……)

 セアラはゆっくり目を開ける。すると、心配そうなエリオットの顔が飛び込んできて、言葉にならないほど驚いた。

「セアラ! 気が付いたかい?」
「え、エリオット様? 私……」
「よかった無事で……」

 ぎゅっと抱きしめられたが、セアラは訳が分からない。

「あの、襲われた方は」
「あれは罠だったんだ。実際は君をさらう為に仕組まれたものだったようだ」
「え……」

 であれば、女性は襲われたわけじゃなかったのだ。

「よかった……」

 思わずそう言ってしまい、エリオットの顔が引きつるのをセアラは見た。

「なにが? 全然よくないけど。僕がどれだけ心配したか、君は分かっているのか」
「あ、ごめんなさい。もう大丈夫……」

 起き上がろうと思ったが、体は動かない。まだ薬の影響が出ているのだろう。

「無理することはないよ。ネルは?」
「ネルちゃんは……私も分からないんです」

< 190 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop