引きこもり令嬢の契約婚約
「うわぁ!」
誰かの叫び声に、深い眠りに落ちていたセアラの意識が浮上してきた。
「くそっ、なんだよお前ら、いつの間に。いったいどうして」
「はっ、聖獣の加護者を甘く見過ぎだ」
『オスニエル、お前には加護は与えてないだろう。それよりお前……少女じゃなくて少年か。いったい何が目的でセアラをさらった?』
(知らない人の声……)
セアラはゆっくり目を開ける。すると、心配そうなエリオットの顔が飛び込んできて、言葉にならないほど驚いた。
「セアラ! 気が付いたかい?」
「え、エリオット様? 私……」
「よかった無事で……」
ぎゅっと抱きしめられたが、セアラは訳が分からない。
「あの、襲われた方は」
「あれは罠だったんだ。実際は君をさらう為に仕組まれたものだったようだ」
「え……」
であれば、女性は襲われたわけじゃなかったのだ。
「よかった……」
思わずそう言ってしまい、エリオットの顔が引きつるのをセアラは見た。
「なにが? 全然よくないけど。僕がどれだけ心配したか、君は分かっているのか」
「あ、ごめんなさい。もう大丈夫……」
起き上がろうと思ったが、体は動かない。まだ薬の影響が出ているのだろう。
「無理することはないよ。ネルは?」
「ネルちゃんは……私も分からないんです」