引きこもり令嬢の契約婚約
 エリオットの拘束が緩み、セアラにもようやく周囲が見えてきた。
 黒髪の絶世の美青年と銀色の狼が、女装した少年を取り囲んで脅している。

「えっ、……誰?」

 セアラは思わず目を細めた。
 だって眩しすぎる。エリオットも美青年ではあるけれど、もう少し親しみがあるというか、見れるレベルの美青年だが、黒髪の男性は内から発光しているような眩しさがある。銀色の狼に至っては、本当にうっすら発光していた。
 眩しくて直視が耐え難い。

「オズボーン王国のオスニエル陛下と、姉の聖獣ドルフだよ」

 エリオットが耳元でささやきつつ、セアラの視界をそっと手で遮った。

「え? どうしてオズボーン国の国王様が?」
「君が消えたから、ドルフに捜索の協力を頼んだんだ。……あんまり見ないでくれる? 義兄上はこの世のものとは思えない美形だから、変なやきもちを焼いてしまいそうだ」

 すねたような声がかわいく思えて、セアラはエリオットを見つめた。耳のあたりが赤くなっている。胸がきゅんとしてしまうのと同時に、ほっともする。

「大丈夫ですよ。眩しすぎて、恐れ多くて、むしろ畏怖の感情の方が湧きます」

 自分を支えてくれるエリオットの腕に手を伸ばし、彼に上半身を預けて力を抜く。
 セアラにとっては、エリオットの傍が一番安心できるのだ。



< 191 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop