引きこもり令嬢の契約婚約
 そこへ、ホワイティが戻ってきた。

『ローランドに渡してきたわよ~』
「ホワイティ様、ネルちゃんが見つかったんですが、眠り薬で眠っているんです」
『あら。この程度なら私の浄化の風で治せるわよ』

 パタパタと、光をはらんだ風がホワイティから流れてくる。
 しばらくすると、ネルはちいさな目を開き、ぱっと飛び起きた。

『セアラ! 大丈夫?』
「うん。エリオット様が助けに来てくれたの。それより、ネルちゃんは体におかしなところはない?」
『うん。大丈夫。……あ、この子だね』

 ネルには珍しくとがった声で、少年を睨みつける。

「この子は、ネルちゃんを救うつもりだったみたい」
『人間が私たちを救おうだなんておこがましいよ。それよりも、眠らされるなんて一生の不覚だわ』

 ネルはブリブリと怒っている。どうやら怒らせると怖そうだ。

「せ、聖獣様と話しているの?」
「ええ。私はネルちゃんに加護をいただいたから」
「俺のこと、怒ってる?」

 少年はおそるおそる手を伸ばすが、ネルは短い手でぺちんと叩いた。

『触らないで。大キライ!』

 そして、左手からセアラの服の中に入り、出てこなくなってしまった。

「……すねちゃった」
『ネルを怒らせると面倒くさいわよ。普段怒らない分、怒ったら長いから』

 ホワイティが呆れたように少年を見る。

「ど、どうしよう、俺」
「……そうね。とりあえず私たちと一緒に来てくれる? 必要なら真実を証言してほしいの」

 すっかりおとなしくなってしまった少年を宥め、セアラはまだ話し合いを続けている王族たちに声をかける。

「エリオット様、オスニエル様、私の考えを聞いていただけますか?」

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