引きこもり令嬢の契約婚約
(ひどい男が来たら文句は言うけどね……)
とはいえ、そこまで心配もしていない。
セアラは侯爵令嬢で、嫁ぎ先にも同等程度の家格が求められる。そしてセアラの結婚相手と、やがてシーグローヴ侯爵家を継ぐ弟は協力関係にならなければならないのだ。そう考えれば、父がセアラの苦手な乱暴な男を選ばないことくらい分かっている。
「それに、見目麗しい男性なら、私のことは気に入らないはずだし」
セアラはひと言でいえば地味だ。
侯爵家の令嬢として、ドレスも髪飾りも最高級なものを用意されるが、素朴な顔立ちのせいか、着てみるとどこかさえない感じになってしまうのだ。
本好きが高じて目も悪く、眼鏡は欠かせないのも、野暮ったく見える理由のひとつだ。そんなわけで、家柄の良さを考慮しても、男性人気はない。
(そう。私を好きになる男の人なんているわけがないわ)
引きこもりとはいえ、セアラは学校にはきちんと通っていた。
学生時代、同年代の男子は皆、華やかな女の子に夢中になっていた。一番人気の令嬢は、二大侯爵家の一つ、オルセン侯爵家のソフィアだったが、家格の低い子爵令嬢や男爵令嬢も、美人であればたいそうチヤホヤされていたものだ。
対してセアラはいつも、ぽつんと部屋の隅にいた。本を読んでいれば誰も近づいても来ない。
その時に実感した。自分は、男性から求められるような女性ではないのだと。
以来セアラは恋愛よりも、学業に身を入れている。勉強は良い。頑張れば頑張るほど成果が点数として現れる。
セアラは昔から薬草に興味があり、学校を卒業した今も、大学の聴講生登録をして、薬師になるための勉強を続けている。
侯爵令嬢として必要な知識ではないことは分かっているが、もしこのまま結婚できなければ、やがては持て余されてしまうだろう。その時は、侯爵家を出て、薬師として生きていこうとセアラはひそかに企んでいた。
「まあ、これでしばらくはお父様もおとなしくなるでしょう。今日はこの本を読まないと!」
セアラは王立図書館から借りてきた南部地方の薬草書を開く。眼鏡をかけ直し、本の世界に没頭すれば、もう周囲の音は耳に入らなくなった。
とはいえ、そこまで心配もしていない。
セアラは侯爵令嬢で、嫁ぎ先にも同等程度の家格が求められる。そしてセアラの結婚相手と、やがてシーグローヴ侯爵家を継ぐ弟は協力関係にならなければならないのだ。そう考えれば、父がセアラの苦手な乱暴な男を選ばないことくらい分かっている。
「それに、見目麗しい男性なら、私のことは気に入らないはずだし」
セアラはひと言でいえば地味だ。
侯爵家の令嬢として、ドレスも髪飾りも最高級なものを用意されるが、素朴な顔立ちのせいか、着てみるとどこかさえない感じになってしまうのだ。
本好きが高じて目も悪く、眼鏡は欠かせないのも、野暮ったく見える理由のひとつだ。そんなわけで、家柄の良さを考慮しても、男性人気はない。
(そう。私を好きになる男の人なんているわけがないわ)
引きこもりとはいえ、セアラは学校にはきちんと通っていた。
学生時代、同年代の男子は皆、華やかな女の子に夢中になっていた。一番人気の令嬢は、二大侯爵家の一つ、オルセン侯爵家のソフィアだったが、家格の低い子爵令嬢や男爵令嬢も、美人であればたいそうチヤホヤされていたものだ。
対してセアラはいつも、ぽつんと部屋の隅にいた。本を読んでいれば誰も近づいても来ない。
その時に実感した。自分は、男性から求められるような女性ではないのだと。
以来セアラは恋愛よりも、学業に身を入れている。勉強は良い。頑張れば頑張るほど成果が点数として現れる。
セアラは昔から薬草に興味があり、学校を卒業した今も、大学の聴講生登録をして、薬師になるための勉強を続けている。
侯爵令嬢として必要な知識ではないことは分かっているが、もしこのまま結婚できなければ、やがては持て余されてしまうだろう。その時は、侯爵家を出て、薬師として生きていこうとセアラはひそかに企んでいた。
「まあ、これでしばらくはお父様もおとなしくなるでしょう。今日はこの本を読まないと!」
セアラは王立図書館から借りてきた南部地方の薬草書を開く。眼鏡をかけ直し、本の世界に没頭すれば、もう周囲の音は耳に入らなくなった。