引きこもり令嬢の契約婚約
「きゃああ」
「君はやっぱり、王妃に向いている」

 彼の声は、少し泣きたそうな感じだ。

「何を言って……」
「王妃というか、……僕の妻に向いている。だって僕の望みを、いつだって忘れずにいてくれるんだ。そして、皆を幸せにしようと考えてくれる。僕は、……君がいい。これから先も一緒に歩むなら、君じゃなきゃダメだ」
「え、エリオット様、みんな見ていますけど……」

 隣に座るホレスが顔を赤くしていて、ホワイティが翼を広げて彼の目のあたりを隠している。
 ネルは気を使っているのか、セアラの服の中で微動だにしない。

「好きだよ、セアラ。頼むから僕の傍から離れないで」
「聞いていますか、エリオット様。恥ずかしいのでやめてください!」
「嫌だ。もう二度と離したくない」
『エリオットには珍しく感情的ね、今日は』

 ため息とともにホワイティがこぼし、そのくらい心配させたのかと思うと、セアラもそこまで強気には出られなかった。

「死なないように努力しますから、離れてください」
「もうちょっとこうしていようよ、どうせ誰も見てない」
「みんな見てますって言っているじゃないですか! もうっ、放してください!」
「あはは」

 楽しそうな声に、セアラはようやくほっとして、彼が離してくれるのを待った。

「俺、何を見せられてるんだろ」

 途方に暮れたホレスには申し訳ないけれど、諦めてほしい。セアラ自身もあきらめているのだから。

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