引きこもり令嬢の契約婚約
「これは……いったい」
「いったいじゃないよ。ここは君の領地だ。ここに村があること、知らなかったのかい?」

 アルドリッド辺境伯は、眠らされているキャンベル公爵を見て、首を振った。

「……お話します。しかしその前に、場所を移しませんか? この村の人間もすべて、わが屋敷に運び入れます」
「いいよ。しかし、もうごまかすことは許さないよ。……辺境伯、僕は君のこと、信用していたんだ。返答次第では、罰も受けてもらう」

 エリオットは、傷ついたような顔をしていた。
 アルドリッド辺境伯は、諦めたように目を伏せる。

「分かっています。どんな罰でもお受けします」

 辺境伯と共に来た騎士たちが、保護した村人を連れていく。

「では俺たちは帰るぞ」
『また何かあれば呼びに来い、ホワイティ』

 オスニエルとドルフは、そう言うと帰っていった。
 移動中は姿を見られないように時を止めていたので、その姿は、辺境伯たちは見ていないようだった。

『セアラ、大丈夫?』
「うん。ネルちゃんもお疲れ様」

 来るときはドルフに乗っていたから一瞬だったが、帰りは騎士団から借りた馬に乗っていても時間がかかる。

「聖獣様はすごいね」

 その力を貸してもらえることに、深い感謝と感銘を覚える。

(聖獣に愛されることは、とても貴重で、だからこそ、間違った人間になってはいけないんだわ)

 セアラは改めてネルに感謝し、この大地を、守っていこうと誓うのだった。
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