引きこもり令嬢の契約婚約
 そんな彼が、言い出したのだ。
『戦争孤児を守らなければならない。それが、オズボーン王国の子供であろうとも』と。

「本来、他国のことは他国に任せるべきです。ですが、キャンベル公爵は、出身に関係なく孤児を守るための村をつくりたいとおっしゃった。王家に相談しても反対せざるを得ないだろうから、内密で村を立ち上げたいと。私は感銘を受け、彼が望んだ土地を任せることにしたのです」

 それが、森の中にできた、あの村だった。

「あんな森の中の土地を欲しがることに、違和感はなかったの?」
「すみません。王家に内密でとの話でしたので、見つかりづらい森の中がいいのだろうと思っていたのです。それに、公爵家は王家の分家。内密と言いつつ、王だけには許可を取っているのではと思っていました」
「……はぁ。それは随分楽観的だね」
「申し訳ありません」

 落胆のため息をつくエリオットに、辺境伯は再び大きく頭を下げる。

「以来、その村のことは公爵様にお任せし、まずはこの町を、そして国境の町を……と、順番に主要な町から立て直しを行いました。そして、いつしか森の中の村のことは、頭から消えていたのです」
「管理もしていないから徴税もしていない。国の管理の枠から完全に外れた村だったということか」
「そうです。……すみません」

 アルドリッド辺境伯の大きな体が、居心地悪そうに縮こまっている。セアラは少し気の毒にも感じたが、領主として問題なのも事実なので黙っていた。

「その村で、キャンベル公爵は、ひそかにツルリカの採取やハーブティ作りをさせていたということだね。オズボーン王国からの輸入ではなく、自作だったというわけだ。輸入ということにしたのは、いざという時に責任逃れをするためだったのだろうな」

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