引きこもり令嬢の契約婚約
「あ、あのっ」

 そこで、アドレイドが割って入る。

「お父様は、ずっと昔からあのハーブティーの効能を知っていたようです。……その、叔母さまとお会いして、エリオット様のお母様にも飲ませていたと確認できました」
「……アドレイド嬢」

 エリオットは驚きで目を丸くする。アドレイドの証言はキャンベル公爵の罪を立件するには有用だが、彼女にとってそれは家の没落と同義であり、彼女が証言することの有用性が感じられない。

「君が調べたのかい? どうして?」

 アドレイドは、ちらりとハワードを見てから、拳を握りしめる。

「……私は確かに王太子妃になりたかった。だけど、それが叶わないなら、違う幸せを見つけたかったんです。でもお父様は違った。叔母さまのように、相手の気持ちが変わるまで傍で寄り添い続けろと言いました。……でも、私はそんなの耐えられない。だから、父の説得に協力してもらおうと叔母に会いに行ったんです」
「叔母……母上の相談役だったという方だね。今は修道院にいるんだっけ」

 問いかけに頷いたアドレイドは、浮かない顔のまま続ける。

「そこで、叔母があのハーブティをエリオット様のお母様に飲ませるよう、父から言われていたことを知りました。洗脳の効果があるお茶を与え続けていたというなら罪になる。それを知って、……知らぬ振りもできず、お伝えに来たのです」
「ほ、本当です! 俺、ずっと一緒についてきたし……」

 うつむくアドレイドをかばうように、ハワードが立ち上がる。

「君は?」
「ハワード! すみません。彼は私の甥で、うちの跡取りです」

 アルドリッド辺境伯はハワードを制しようとしたが、彼は身を乗り出して訴え続ける。

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