引きこもり令嬢の契約婚約

王太子妃として

 一行は王城へと戻り、国王への報告が行われる。
 その場にいた重臣の中には、オルセン侯爵もシーグリーヴ侯爵もいた。

「まさか、キャンベル公爵が……」

 ルパード王の第一声はそれだった。
 年が近く、王家に連なるものとして懇意にしていたキャンベル公爵のことを、ルパードはかなり信頼していたのだ。

「本人から話は聞いたのか?」
「ええ。村を内密に作っていたことは認めました。それは孤児たちを助けるためだと。その主張は、アルドリッド辺境伯の言動とも合致しています。しかし、行動を見るにその動機が正しいとはとても……」

 エリオットの説明に、王は眉根を寄せて落胆した声を出す。

「ハーブティーが洗脳目的だったというのは本当なのか……?」
「キャンベル公爵は、現時点で洗脳効果があったことは知らないと言いはっています。でも、アドレイド嬢の証言がありますからね。分かっていてやっていたのだと思います」
「アヴリル……お前の母の死も……それが関係していたというのか」

 ルパード王が頭を抱える。精神的に病んだ妻を支えきれず別れた彼とすれば、当時の自分に対してふがいなさも感じるだろう。

「加えて、オルセン侯爵令嬢が二十五年前からの入出国記録を洗い出してくれました。キャンベル公爵には不自然な出国が多く、当時からオズボーン王国の商人との取引が多かった。それは戦後の今も続いていて、くだんのハーブティーはそこから輸入されていると。しかし、その商会はオズボーン王国側の資料では今はもう存在していない。つまり、ここ近年のハーブティーの入手経路には、不審な点があるということです」

 おそらくは当初高額で輸入していたハーブを、立ち上げた村で採取または栽培するようにしたのだろう。
 王家に近い血筋として、強い権限を持っていたキャンベル公爵だからこそ、ここまで隠し通すことができたのだ。



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