引きこもり令嬢の契約婚約
 シーグリーヴ侯爵が部屋に乱入してきたのはその一時間後で、セアラとエリオットが同じ部屋で一夜を過ごしたことをは、むしろその大騒ぎで広まった。

「聖獣に誓って彼女の純潔は守っているって」
「そんなことは当たり前です。私は、そうやって未婚の娘にあらぬ疑いをかけられるような行動をすることが問題だと言っているんです」
「旅行にまで行っているんだから、今さらだよ」
「あれは、お付きがそばにいたでしょう! 私はローランド殿にちゃんと監視を頼んでおきましたよ!」
「そんなことしてたの?」
「もう、ふたりともやめてください!」

 にぎやかな朝の客室を、ホワイティが覗きに来る。

『エリオット、いつまで寝ているの! 王様、もう執務を開始したわよ』

 みんな気を使って、私に行ってほしいって目で見るのよ、とホワイティはややふてくされている。

「わかったわかった。身支度を整えてから行くよ」

 エリオットは立ち上がると、セアラの額に軽く口づける。

「セアラは一度帰るかい?」
「はい。必要があればお呼びください。それと……」

 セアラはもじもじと彼に近寄ると、かかとを上げて耳元に囁く。

「無理しないで、体を休めてください」

 親密そうな態度に、シーグリーヴ侯爵の眉根が寄る。
 エリオットはほほを染め、「やっぱり君はかわいいなぁ!」とセアラを抱き上げた。

「きゃっ」
「殿下! お戯れはおよしください」
「あはは。ねぇ、侯爵。結婚式を早める気はない? 僕、早くセアラと結婚したいんだけど」
「あと数ヶ月くらいおとなしくお待ちください!」

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