引きこもり令嬢の契約婚約
「もちろんです。エリオット様」
「うん。……かしこまりました、父上。拝命いたします」
「うむ。頼むぞ」
エリオットが誇らしげにセアラを見つめた。セアラもうれしかったが、隣でわなわなと震える父もが気になる。
「……あ、アルドリッド領に行くだと……?」
「お父様、山越えはありますが、一日で行ける距離です。そう遠くありませんよ。うちの領地の方がよほど遠いじゃありませんか」
「だが、大丈夫なのか?」
「私は別に病弱ではありませんし、ホワイティ様もネルちゃんも付いてきてくれますもの」
「はは。シーグリーヴ侯爵も子離れせんとな」
「これは陛下。痛いところを突きますね……」
セアラは思わず笑ってしまい、場は一瞬和やかな空気に包まれた。
「……ところで、なぜソフィアはこの場に呼ばれたのでしょうか」
おずおずと問いかけるのはオルセン侯爵だ。
「ああ。実はオルセン侯爵令嬢の仕事ぶりが評判が良くてな。本人も文官になりたいと言うし、アルドリッド辺境伯家との縁談も破談にするのだろう? 少し仕事を手伝ってもらおうかと思っているんだ」
「陛下の補佐……ですか?」
「私の……というか、いずれはエリオットの側近として力を振るってほしいと思っている。まずは仕事を覚えるために、士官してもらいたいのだが、どうだ?」
「しかし……」
オルセン侯爵は思わず立ち上がる。ソフィアは落ち着いた表情で、父の驚きを受け止め、優雅に微笑んで見せた。
「お父様。私は役に立ちますわ。いずれオルセン侯爵家を、国一番の家門にして見せます」
「お前が……爵位を継げるわけではないだろう」
「そのあたりは法改正がいるな。しかし言われてみれば、男性だけが継承権を持つのはおかしい話だ。王家は加護の強さで女王を選ぶこともあるのだから」
穏やかに告げる王を見て、オルセン侯爵は言葉を失くしたまま立ち尽くし、やがてぽそりと言葉を漏らす。
「……お前は、私よりも先見の目があるのだな」
そして諦めたように、座り直した。
「わかった。好きなように生きなさい」
「ええ。もちろんです」
表情が表に出ないソフィアよりも、レナルドの方が嬉しそうに笑っている。
ふたりの行く末を何となく想像して、セアラはこっそり微笑んだ。
「うん。……かしこまりました、父上。拝命いたします」
「うむ。頼むぞ」
エリオットが誇らしげにセアラを見つめた。セアラもうれしかったが、隣でわなわなと震える父もが気になる。
「……あ、アルドリッド領に行くだと……?」
「お父様、山越えはありますが、一日で行ける距離です。そう遠くありませんよ。うちの領地の方がよほど遠いじゃありませんか」
「だが、大丈夫なのか?」
「私は別に病弱ではありませんし、ホワイティ様もネルちゃんも付いてきてくれますもの」
「はは。シーグリーヴ侯爵も子離れせんとな」
「これは陛下。痛いところを突きますね……」
セアラは思わず笑ってしまい、場は一瞬和やかな空気に包まれた。
「……ところで、なぜソフィアはこの場に呼ばれたのでしょうか」
おずおずと問いかけるのはオルセン侯爵だ。
「ああ。実はオルセン侯爵令嬢の仕事ぶりが評判が良くてな。本人も文官になりたいと言うし、アルドリッド辺境伯家との縁談も破談にするのだろう? 少し仕事を手伝ってもらおうかと思っているんだ」
「陛下の補佐……ですか?」
「私の……というか、いずれはエリオットの側近として力を振るってほしいと思っている。まずは仕事を覚えるために、士官してもらいたいのだが、どうだ?」
「しかし……」
オルセン侯爵は思わず立ち上がる。ソフィアは落ち着いた表情で、父の驚きを受け止め、優雅に微笑んで見せた。
「お父様。私は役に立ちますわ。いずれオルセン侯爵家を、国一番の家門にして見せます」
「お前が……爵位を継げるわけではないだろう」
「そのあたりは法改正がいるな。しかし言われてみれば、男性だけが継承権を持つのはおかしい話だ。王家は加護の強さで女王を選ぶこともあるのだから」
穏やかに告げる王を見て、オルセン侯爵は言葉を失くしたまま立ち尽くし、やがてぽそりと言葉を漏らす。
「……お前は、私よりも先見の目があるのだな」
そして諦めたように、座り直した。
「わかった。好きなように生きなさい」
「ええ。もちろんです」
表情が表に出ないソフィアよりも、レナルドの方が嬉しそうに笑っている。
ふたりの行く末を何となく想像して、セアラはこっそり微笑んだ。