引きこもり令嬢の契約婚約

エピローグ

 ブライト王国王太子エリオットとセアラ・シーグローヴ侯爵令嬢の結婚式は、予定を少し前倒しし、婚約式から九カ月後に行われた。
 早めた経緯は、セアラの正妃教育が早く終わったことと、アルドリッド辺境伯領に建設中だった領主屋敷の完成を受け、新領主となるエリオットが妻を伴い向かいたいと強く切望したからだ。

 オズボーン王国との国境を含むこの土地は、南を意味する古代語からとり、メリディエスと名付けられた。
 これにより、エリオットは、王家直轄領メリディエスの領主としてとして、エリオット・オールブライト・メリディエスの名をいただいたのである。
 結婚式は、ラングレン山のふもとにある王都で行われ、他国からの賓客や、国内の貴族を招く形で行われた。
誓いのキスをした時に、金色の光がきらめく風が吹いた。

「これは、ホワイティ様の祝福の風じゃないか?」
「さすが、聖獣の加護の持ち主だ」

 ブライト王国の貴族たちが、ざわざわと騒ぎ出す。

『いいなぁ。わたしじゃ土を盛り上げるくらいしかできないもん。お祝いにはならないよね』

 セアラの肩に乗り、悔しそうにつぶやくのはネルだ。

「ネルちゃんは私の傍にいてくれるじゃない。それだけで、十分素敵な祝福よ。ひとりだったら、こんなにたくさんの人の前で笑っていられる気がしないもの」
『そう? そう言ってくれるとうれしい』

 微笑み合うセアラとネルを、柔らかい表情で眺めながら、エリオットは手を上げた。

「ホワイティ!」
『エリオット』

 彼を溺愛するシロフクロウは、呼びかけに応じてすぐに飛んでくる。

「祝福をありがとう」
『ふふ。特別よ』

 すりすりと頭をエリオットのほほに寄せるホワイティを見て、観客たちがざわめき合う。
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