引きこもり令嬢の契約婚約【※番外編更新中です】
「君はそう割り切れても、僕はね、政略結婚にも愛はあったほうがいいと思うんだよね」
どうして一国の王太子がそう甘ったれたことを言うのか。
ソフィアは苛立ちが隠せない。こういうところが気が合わないのだ。
「どちらかというと、君には有能な補佐になってほしいかな」
思いもかけないことを言われて、ソフィアは一瞬黙る。
「女の身で、そんなことできるわけがないじゃありませんか」
「でも君は有能だよね。正直、将来の側近候補である彼らより、君の方が信頼はできる」
エリオットの視線の先には、彼と同学年のバストン伯爵の息子がいる。生徒会の副会長をしていて、ソフィアと同じ学年にいる弟とは違い、学校の成績はいいはずだが、いまだ会報の仕分けが終わらないところを見ると要領は悪そうだ。
「そんなこと言っていいんですか」
「よくはないね。内密にしておいてくれる?」
「もちろん。私も敵は作りたくありませんから」
エリオットは苦笑し、生徒会室を眺める。彼の同年代は高位貴族の子息や令嬢が少ない。
加えて、幼少期からホワイティと過ごしてきた彼だ。なかなか、信頼できる友人を作るまでには至っていないのかもしれない。
「……もどかしいよね。王子って言っても、自分の好きなようにできるわけじゃないし」
「それは誰だってそうです」
ソフィアだって、好きこのんで王太子妃候補になっているわけではない。
「そうだけど、みんなが嫌な思いを飲み込んで生きることも無いじゃないか。……僕の代には、女性も爵位を告げるようにしたいんだよね。君のような有能な女性が、誰かの妻で終わるのももったいないだろう」
エリオットのこれまでの言動の中で、一番胸がときめいた。
考えたことも無かったけれど、ソフィアが爵位を継げるのなら、エスメが婿を取ってオルセン侯爵家を継ぐ必要はないし、ソフィア自身、気の進まない王太子妃になるよりもずっと魅力的だ。
「それはいい案ですわね」
「そう思うだろう? でもね、なかなか賛同者が得られない。君が僕の味方になってくれるとうれしいんだけどね」
ソフィアは少し考えた。この提案に頷くことは、父の意に反することを意味する。しかし、父を怒らせてもいいくらいには魅力的に思えた。
「いいですわ。私をオルセン侯爵にしていただけるのなら、いくらでもあなたの手助けをしましょう」
昼休みにひそやかに結ばれた約束は、その後、ふたりの行動の指針となったのだった。
どうして一国の王太子がそう甘ったれたことを言うのか。
ソフィアは苛立ちが隠せない。こういうところが気が合わないのだ。
「どちらかというと、君には有能な補佐になってほしいかな」
思いもかけないことを言われて、ソフィアは一瞬黙る。
「女の身で、そんなことできるわけがないじゃありませんか」
「でも君は有能だよね。正直、将来の側近候補である彼らより、君の方が信頼はできる」
エリオットの視線の先には、彼と同学年のバストン伯爵の息子がいる。生徒会の副会長をしていて、ソフィアと同じ学年にいる弟とは違い、学校の成績はいいはずだが、いまだ会報の仕分けが終わらないところを見ると要領は悪そうだ。
「そんなこと言っていいんですか」
「よくはないね。内密にしておいてくれる?」
「もちろん。私も敵は作りたくありませんから」
エリオットは苦笑し、生徒会室を眺める。彼の同年代は高位貴族の子息や令嬢が少ない。
加えて、幼少期からホワイティと過ごしてきた彼だ。なかなか、信頼できる友人を作るまでには至っていないのかもしれない。
「……もどかしいよね。王子って言っても、自分の好きなようにできるわけじゃないし」
「それは誰だってそうです」
ソフィアだって、好きこのんで王太子妃候補になっているわけではない。
「そうだけど、みんなが嫌な思いを飲み込んで生きることも無いじゃないか。……僕の代には、女性も爵位を告げるようにしたいんだよね。君のような有能な女性が、誰かの妻で終わるのももったいないだろう」
エリオットのこれまでの言動の中で、一番胸がときめいた。
考えたことも無かったけれど、ソフィアが爵位を継げるのなら、エスメが婿を取ってオルセン侯爵家を継ぐ必要はないし、ソフィア自身、気の進まない王太子妃になるよりもずっと魅力的だ。
「それはいい案ですわね」
「そう思うだろう? でもね、なかなか賛同者が得られない。君が僕の味方になってくれるとうれしいんだけどね」
ソフィアは少し考えた。この提案に頷くことは、父の意に反することを意味する。しかし、父を怒らせてもいいくらいには魅力的に思えた。
「いいですわ。私をオルセン侯爵にしていただけるのなら、いくらでもあなたの手助けをしましょう」
昼休みにひそやかに結ばれた約束は、その後、ふたりの行動の指針となったのだった。