引きこもり令嬢の契約婚約【※番外編更新中です】
 淡々とつづられる父の考えを、ソフィアは静かに聞きながら、扇を開いて口元を隠す。

(相変わらず、用意周到というか、策を弄するのが好きな人ね)

 父と話していると、チェスの駒になったような気分になる。彼が自分を思う時は、作戦のどこにハマるかを基準にしているのだ。無条件に愛されているわけではない。

(お母様だけね。お父様の愛情の対象は)

 母だけは、父にやたらに大事にされている。外見はエスメとよく似ていて、華奢でおっとりとした印象なのに、とても我が強くたいていのことは譲らないのだ。

(かくいう私も、お母様だけは思うように動かせないもの)

 そういう人に惹かれるのは、わからないわけじゃない。
 すべてを思い通りに動かしてきた人間にとって、攻略できない人間のことは気になるし、頭から離れなくなる。それが異性であれば、恋に変わることもあるだろう。

「では、今日、彼を私の護衛につけたのは……」
「お前について歩けば、自然と顔は広くなる。オルセン家の縁の人物として印象付けておけば、いずれエスメと結婚しても納得されるだろう」
「……わかりましたわ」

 結局は駒なのだ。ソフィアも、レナルドも。父にとってはピースのひとつにすぎない。


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