引きこもり令嬢の契約婚約【※番外編更新中です】
やがて馬車は王城に着く。父の後について馬車を降りようとすると、レナルドが手を差し伸べてきた。
「ありがとう」
「いやあ、お嬢、姿勢も綺麗ですね! 俺、今まで警護でしか夜会に参加したことないので、ビビってるんですけど」
「心配することはないわ。ダンスをしたり、おしゃべりをしたりするだけよ。それに、参加すると言ってもレナルドは護衛なんだから、ダンスはしないでしょう?」
「それはそうですけど。食事はしてもいいんですよね?」
王城の夜会では、確かに軽食が用意されている。バイキング形式で、好きなものを好きな量だけ食べられるのだ。
「ソフィアから目を離さなければな」
オルセン侯爵にぴしゃりと言われつつ、内心楽しみにしているのかレナルドの口元は緩んでいる。
「……王城のパティシエのケーキはおいしいわよ。私、昼間のお茶会で食べたことがあるわ」
「ですよね! 昔から食べて見たかったんですよ!」
ぱっと笑顔になるレナルドに、ソフィアは笑ってしまう。
「ソフィア、行くぞ」
父の声に我に返り、彼の腕に手を添えた。レナルドはその後ろから、周囲を警戒しつつついてくる。
「オルセン侯爵様、ご息女のソフィア様、ご入場です」
招待状に書かれた貴族は、入場の際に名前が呼ばれる。
会場には、管弦楽団がいて素晴らしい演奏を披露している。通常の夜会で招かれる楽団よりも人数が多く、伴奏というには主張の強い曲が演奏されていて、これでは演奏会のようだ。
確かに演奏は素晴らしいが、夜会の趣旨を鑑みれば、主張が強すぎだろう。