引きこもり令嬢の契約婚約【※番外編更新中です】
 ソフィアの来訪に気づいたエリオットが、すぐに近づいてきた。

「やあ、オルセン侯爵、ソフィア嬢、よく来てくれたね」
「これは、エリオット殿下、ご機嫌麗しく」

 侯爵に続き、ソフィアが礼をする。エリオットは後ろのレナルドに気づき、にこりと笑いかける。

「ホールデン伯爵家の……」
「あ、レナルドです! 殿下にご記憶いただいているとは……!」
「前は城の警備をしてくれていただろう。今はソフィア嬢の護衛なんだって?」
「はい!」
「私と妹の護衛ですわ、殿下」

 元気よくレナルドが返事をしたところで、ソフィアがエリオットに訂正する。

「分かっているよ。エスメ嬢は元気かい?」
「ええ。相変わらず読書が好きなので、家にこもってばかりおりますけどね。……それにしても、ご立派な楽団ですわね」

 嫌味も込めてそう言えば、エリオットはいたずらっ子のような顔で笑う。

「そう。いいだろう? やりたくもない夜会を強行されたからさ、せめてもの反抗に、管弦楽団全員を呼んで、演奏曲をリクエストしたんだ」
「ああ。……殿下の差し金でしたの。この演奏会状態は」

 まったくろくでもない王太子だ。だけど、内容がどうしようもないだけに、人に聞かれるのも困る。自然とソフィアとエリオットは顔を近づけ、小声で話すようになっていた。
 それは周囲から見れば、親密な様子に見えたのだろう。

「やっぱり、オルセン侯爵令嬢で決まりかしら」
「成績も優秀らしい。家格も申し分ないしな」

 そんな声が聞こえてくる。

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