引きこもり令嬢の契約婚約【番外編も完結】
「あの辺にテーブルを置いて、令嬢たちはお茶会をしていたんです。俺は、あっちかな。水を飲みに城の中に戻ろうとしていた時です。フィオナ様は聖獣の加護がなかったから、不敬な態度をとる令嬢も多かったじゃないですか。それを一喝していたのがソフィア様です。覚えていますか?」
ソフィアの記憶にも蘇ってきた。まだソフィアが今のエスメくらいの年の頃だ。戦時中だった当時は特に、加護無しのフィオナにはあたりが強かったように思う。
「それは、……当たり前のことでしょう? それに、あれは口を出すのが遅すぎたわ。本当ならフィオナ様の耳に届く前に、令嬢の口を塞ぐべきだったのよ」
いくら王位継承者じゃないとはいえ、王族ならば与えられると言われた聖獣の加護が得られなかったのだ。あの時のフィオナは、いたたまれなかっただろう。
ただ、ソフィアは望まれた通りの能力を得られた人間だ。自分が望むと望まざるは置いておいて、失望されたという経験がない。だから、自分を否定する人の中にいるいたたまれなさを、本質的には把握していなかったのだ。
それで、口を出すのが遅れた。フィオナの生気の失われたような表情を見て、初めて止めなければと思ったのだ。
「……すごい令嬢がいるものだなと、俺はあの時驚いてしまって。一生を捧げて仕えるならそんな人がいいなと思ったんですよ」
「え?」
ソフィアは顔を上げる。レナルドはエスメとの婚約を餌に護衛になったのだと思っていたから。
「オルセン侯爵様から娘たちの護衛にならないかと言われて、二つ返事でお答えしたのは、お嬢の護衛になりたかったからです」
珍しくソフィアの頭が真っ白になった。そして多分、顔は赤い。
頬があつくて、周囲の空気が冷たくて、なんだか心臓がはやって落ち着かない。
ソフィアの記憶にも蘇ってきた。まだソフィアが今のエスメくらいの年の頃だ。戦時中だった当時は特に、加護無しのフィオナにはあたりが強かったように思う。
「それは、……当たり前のことでしょう? それに、あれは口を出すのが遅すぎたわ。本当ならフィオナ様の耳に届く前に、令嬢の口を塞ぐべきだったのよ」
いくら王位継承者じゃないとはいえ、王族ならば与えられると言われた聖獣の加護が得られなかったのだ。あの時のフィオナは、いたたまれなかっただろう。
ただ、ソフィアは望まれた通りの能力を得られた人間だ。自分が望むと望まざるは置いておいて、失望されたという経験がない。だから、自分を否定する人の中にいるいたたまれなさを、本質的には把握していなかったのだ。
それで、口を出すのが遅れた。フィオナの生気の失われたような表情を見て、初めて止めなければと思ったのだ。
「……すごい令嬢がいるものだなと、俺はあの時驚いてしまって。一生を捧げて仕えるならそんな人がいいなと思ったんですよ」
「え?」
ソフィアは顔を上げる。レナルドはエスメとの婚約を餌に護衛になったのだと思っていたから。
「オルセン侯爵様から娘たちの護衛にならないかと言われて、二つ返事でお答えしたのは、お嬢の護衛になりたかったからです」
珍しくソフィアの頭が真っ白になった。そして多分、顔は赤い。
頬があつくて、周囲の空気が冷たくて、なんだか心臓がはやって落ち着かない。