引きこもり令嬢の契約婚約【番外編も完結】
「……はあ」
大きなため息とともに、体中の力が抜けた。脱力。今の感覚を表す言葉はほかに無い。
なんなのだ。この男の考えが読めなさすぎる。
父だって、あんなにも入念に考えて、レナルドを護衛にと雇ったのだろうに、今のところなにひとつハマっていないのではないか。
「……じゃあ、エスメの婿になる気はないの?」
「ないですね。ていうか、俺は選ばれないと思います。エスメ様って、案外頑固じゃないですか? 俺のことは好きにはならないと思うし、政略結婚ができるタイプにも思えませんが」
「……それはそうね」
(だからこそ、父は〝エスメと気の合いそうな男〟という点を重視してレナルドを選んだのだ。……なのに)
ソフィアはなんだかおかしくなってきた。
あれだけ入念に人の配置を行う父が、エスメのことも、レナルドのことも読み切れずに失敗している。
今の話を父が聞いたら、どれだけ間の抜けた顔をするだろうか。
自分が父の鼻を明かしたわけでもないのに、ソフィアは胸の奥がすっとしてきた。
「だったら……レナルド、私につく?」
「つく……とは」
レナルドの耳もとでこそりとつぶやく。
「私、本当は自分でオルセン侯爵家を継ぎたいの。王太子妃なんてまっぴらよ。自分の力を試したいの。これはエリオット殿下もご承知で、彼と私は協力関係にある。私たちは互いに結婚しない理由をつくるために、あいまいな関係を続けているの」
「そうだったんですか」
「女が侯爵位を継ぐには越えなければならない障害がいくつもあるわ。何年かかるかもわからない。でも私は成し遂げたい。私に付き合っていたら、あなたも結婚できないかも。それでも、私を守る気はある?」
意思を込めてレナルドを見つめれば、彼の驚いた口元が、笑みの形に変化していくのが見えた。
「やっぱりお嬢は格好いいですね。もちろんです! どこまでも付いていってお守りします!」
「頼むわよ、私の護衛騎士」
ソフィアの手を取ったレナルドは、その甲に口づけをする。
闇に落ちた中庭からは、鳥の羽音と「ホウ」という鳴き声がした。それはホワイティの祝福だったのではないかと、ソフィアは思っている。
大きなため息とともに、体中の力が抜けた。脱力。今の感覚を表す言葉はほかに無い。
なんなのだ。この男の考えが読めなさすぎる。
父だって、あんなにも入念に考えて、レナルドを護衛にと雇ったのだろうに、今のところなにひとつハマっていないのではないか。
「……じゃあ、エスメの婿になる気はないの?」
「ないですね。ていうか、俺は選ばれないと思います。エスメ様って、案外頑固じゃないですか? 俺のことは好きにはならないと思うし、政略結婚ができるタイプにも思えませんが」
「……それはそうね」
(だからこそ、父は〝エスメと気の合いそうな男〟という点を重視してレナルドを選んだのだ。……なのに)
ソフィアはなんだかおかしくなってきた。
あれだけ入念に人の配置を行う父が、エスメのことも、レナルドのことも読み切れずに失敗している。
今の話を父が聞いたら、どれだけ間の抜けた顔をするだろうか。
自分が父の鼻を明かしたわけでもないのに、ソフィアは胸の奥がすっとしてきた。
「だったら……レナルド、私につく?」
「つく……とは」
レナルドの耳もとでこそりとつぶやく。
「私、本当は自分でオルセン侯爵家を継ぎたいの。王太子妃なんてまっぴらよ。自分の力を試したいの。これはエリオット殿下もご承知で、彼と私は協力関係にある。私たちは互いに結婚しない理由をつくるために、あいまいな関係を続けているの」
「そうだったんですか」
「女が侯爵位を継ぐには越えなければならない障害がいくつもあるわ。何年かかるかもわからない。でも私は成し遂げたい。私に付き合っていたら、あなたも結婚できないかも。それでも、私を守る気はある?」
意思を込めてレナルドを見つめれば、彼の驚いた口元が、笑みの形に変化していくのが見えた。
「やっぱりお嬢は格好いいですね。もちろんです! どこまでも付いていってお守りします!」
「頼むわよ、私の護衛騎士」
ソフィアの手を取ったレナルドは、その甲に口づけをする。
闇に落ちた中庭からは、鳥の羽音と「ホウ」という鳴き声がした。それはホワイティの祝福だったのではないかと、ソフィアは思っている。