引きこもり令嬢の契約婚約
 セアラが一通り説明すると、エリオットは頷いた。

「ああ、それは確かにホワイティだね」
「やっぱり! あの時何を言っていたのかも知りたかったんです。まあ、ホワイティ様は覚えていないかもしれませんが」
「今度聞いてみるよ。あの時はね……僕の願いを聞いて、疫病の薬を作ってくれていたんだ」

 エリオットはなぜか恥ずかしそうに、少し赤くなった首の後ろを押さえる。

「エリオット様のお願いだったのですか?」
「あの時、疫病が流行ったのは、シーグローヴ侯爵領だけじゃなかったんだ。僕は王都に届く報告を聞いているだけですごく怖かった。当時の僕は気弱で、感情がすぐ顔に出る方でね。いろいろ想像したら、……その、泣いてしまったんだ。それでホワイティが、『薬を作ってみんなを治してあげるから泣かないで』って」

 今のエリオットからは泣く姿なんて想像できない。だけど彼に『泣き虫殿下』というあだ名があったことは知っている。

「必要な薬草がないから遠くまで行くって言っていたから、その時に、シーグローヴ侯爵領にも行ったのかもね」
「そういえば、あの時、薬草畑からいくつか薬草を抜いていました」
「じゃあ、そこに必要なものがあったんだろう。……ありがとう。セアラ嬢も、疫病から民を救ってくれたうちのひとりだ」

 まさかそんなことを言われるとは思わず、セアラはびっくりして息が止まってしまった。

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