引きこもり令嬢の契約婚約
「セアラ様って……いいえ、なんでもないわ。さあ、おかけになって。私、セアラ様とお話しするのを楽しみにしていたの。どういう手を使って、エリオット様のお心をひきつけたのか、聞かせていただきたいと思って」

(怖すぎる!)

 笑顔なのに凄みがあって、セアラの方が年上であるにもかかわらず、威圧感に負けそうだ。

「そ、それは、たまたまといいますか」
「あら。未来の王太子妃がたまたまで決められることはないわ。そもそも、私たちが候補者に選ばれたのは、家柄を考慮されてのことです」
「そ、そうですね」
「あなたやオルセン侯爵家も候補に入っていたのは、各侯爵家にいる年頃の令嬢の立場を考えてのことよ。本命は私だったはずだわ。なのになぜ、あなたが選ばれたの? おかしいでしょう。いったい、何をしたの?」

 一見朗らかそうな会話が、やがて詰問へと変わっていく。その剣幕に、お茶道具を持って控えているメイドさえも動きを止めていた。
 セアラもなんと反論していいかわからない。
 自分こそ、立場を考えて呼ばれただけで、最初から候補にも入っていないとは考えないのだろうか。

(でもそんなこと言ったら殺されるわ……!)

「私は、……なにも、その、エリオット様がお決めになったことですし」

 しどろもどろに言い返すも、「は? 聞こえないわ」と相手はすごい剣幕だ。

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