引きこもり令嬢の契約婚約
*
エリオットとセアラがそろって王城に戻ってくると、執務で城に詰めている文官たちがざわついた。
正妃教育が行われる部屋は、城勤めが自由に動ける区画より奥であり、ましてセアラには威厳とか華とかはない。
これまでも出入りしていたはずだが、正妃候補だとは思われていなかったのだろう。
エリオットと共にいることで、ようやく皆が認識したのだ。
『あれが、エリオット様の婚約者?』
『オルセン公爵令嬢じゃないんだ?』
『かわいらしい方だけど……なんか地味ね』
小声なのだろうけれど、嫌な言葉というのは不思議と耳に入ってくる。
(地味なのも事実。さえないのも事実。気にしちゃだめよ……)
実際、セアラはめちゃくちゃ傷ついているわけではないが、わずかに気分が重くなるのも事実だ。
「おや、エリオット様。そして、そちらは、シーグローヴ侯爵令嬢ですかな」
「あ……」
「やあ、オルセン侯爵」
「こ、こんにちは、オルセン侯爵様。ソフィア様には、大変お世話になっております」
セアラの礼に、オルセン侯爵は鼻を鳴らす。
「ああそうだね。しっかりしてもらわないと。ソフィアが教えたのにこの程度と思われては困る」
ぴしゃりと言われ、セアラは背中に冷水をかけられたような気持ちになった。
「侯爵、僕の婚約者に失礼なことは言わないでもらえるかい?」
「申し訳ありません、殿下。しかし、なぜうちの娘が彼女に礼儀作法を教えなければならないのでしょう」
「ソフィア嬢の希望だと聞いているよ。侯爵も了承したのではなかったのかい?」
エリオットの返答に、オルセン侯爵は憎々しげに顔をゆがめる。
エリオットとセアラがそろって王城に戻ってくると、執務で城に詰めている文官たちがざわついた。
正妃教育が行われる部屋は、城勤めが自由に動ける区画より奥であり、ましてセアラには威厳とか華とかはない。
これまでも出入りしていたはずだが、正妃候補だとは思われていなかったのだろう。
エリオットと共にいることで、ようやく皆が認識したのだ。
『あれが、エリオット様の婚約者?』
『オルセン公爵令嬢じゃないんだ?』
『かわいらしい方だけど……なんか地味ね』
小声なのだろうけれど、嫌な言葉というのは不思議と耳に入ってくる。
(地味なのも事実。さえないのも事実。気にしちゃだめよ……)
実際、セアラはめちゃくちゃ傷ついているわけではないが、わずかに気分が重くなるのも事実だ。
「おや、エリオット様。そして、そちらは、シーグローヴ侯爵令嬢ですかな」
「あ……」
「やあ、オルセン侯爵」
「こ、こんにちは、オルセン侯爵様。ソフィア様には、大変お世話になっております」
セアラの礼に、オルセン侯爵は鼻を鳴らす。
「ああそうだね。しっかりしてもらわないと。ソフィアが教えたのにこの程度と思われては困る」
ぴしゃりと言われ、セアラは背中に冷水をかけられたような気持ちになった。
「侯爵、僕の婚約者に失礼なことは言わないでもらえるかい?」
「申し訳ありません、殿下。しかし、なぜうちの娘が彼女に礼儀作法を教えなければならないのでしょう」
「ソフィア嬢の希望だと聞いているよ。侯爵も了承したのではなかったのかい?」
エリオットの返答に、オルセン侯爵は憎々しげに顔をゆがめる。