引きこもり令嬢の契約婚約
 それはホワイティ本人から聞いたことがある。加護の儀式は王家の子が十三歳を迎えると行われ、そこで聖獣から加護を得るのだが、ホワイティはエリオットが一歳になるかならないかのことから、加護を与えると決めていたのだと。
 エリオットの呼びかけに応えてくれたホワイティは、ようやく話ができるようになったと喜んでいた。

「僕も、ホワイティのことは好きだよ。彼女の機嫌を損ねるのはちょっとね。父上、そんなわけで縁談の件は……」

 これ幸いと縁談を断ろうとするも、父は険しい顔で首を振った。

「そうはいくか。すでに三人の候補に絞られている。お前には、それぞれの令嬢と会ってもらう」

「もう決定事項ですか」

「そうだ」

 エリオットは微笑んだまま、国王を見つめる。内心の怒りを感じ取った国王もひるむことなく彼を見つめる。しばし、沈黙の時間が流れた。

「……かしこまりました。父上。お望みのままに」

 うやうやしく礼をして、エリオットが背中を向ける。

『いいのか。ルパード』

 フランクリンが心配そうに国王に問いかけた。
 気遣ってくれる己の聖獣に感謝の眼差しを向け、国王はぽそりと告げた。

「怒っているな。わかっているよ。しかし、王族にとって世継ぎを残すことは最大の義務だ。あの子だってそれはわかっているさ。フランクリン、悪いが、ホワイティをなだめてくれないか」

『努力はするけど。宥められる気はしないな。ホワイティは一途だぞ』

 フランクリンが飛び立つと、側近たちが国王をちらちらとみる。宰相や補佐官には聖獣の声が聞こえていないので、王とエリオットの会話から聖獣たちの言動を予想することしかできないのだ。

「陛下……。どうなりました」

 宰相がおそるおそる呼びかけると、国王は口元を緩めた。

「予定通りだ。エリオットと三人の令嬢がそれぞれ会えるよう日程を組んでくれ」

「はっ」

 こうして、エリオットは三人の令嬢とお見合いを行うこととなったのだった。

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