引きこもり令嬢の契約婚約

「ど、どうですか?」

 渾身の笑顔……のつもりだったがやはり引きつっていたのだろう。

「…………ふっ。あはは」

 エリオットはこらえきれなくなったように噴き出した。

「あっ、ひどい」
「ごめんごめん。いや、必死でかわいいなと思って」
「嘘! 絶対変な顔をしていましたよね」
「大丈夫だよ。ほら」

 ちょん、とほほをつつかれる。

「今の顔、かわいい」
「…………っ!」

 胸が躍る。恥ずかしくてたまらないのに、うれしいとも感じる。

 セアラのような世間知らずには、契約婚約なんて無理だったのだ。
 こんなに彼を好きになってしまった。

「僕はね、君の表情豊かなところが好きだよ」
「もうっ、恥ずかしいことばかり言わないでください!」
「本当だよ。だから、我慢しなくてもいいんだ」

 無意識に息を飲んでしまった。自分の不安を見透かされてしまったような気がする。

「自分の想いをちゃんと表して。僕が、助けに行けるように」

(……ああ、神様。助けてください)

 ぐいぐいと気持ちが引っ張られる。気づけばこんなに惹かれてしまっている。
 彼の言う「好きだ」は親愛の意味でしかないのに。

(ホワイティ様が私に姿を見せてくれないのは、当然だわ)

 きっと聖獣は何もかもお見通しなのだ。セアラが分不相応な恋をしていることも。
 約束を破って、契約のふりをして彼の傍にいることも。
 だから姿を見せてくれないに違いない。


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