引きこもり令嬢の契約婚約

 アドレイドはしばらく、セアラにはわからない社交界の話をしていた。説明もなしで話が進むため、誰の話なのかも分からないので、あいまいに頷くことしかできない。
 ちょっと退屈にさえ感じていたから、ホワイティの話が出た時は目の覚めたような感覚になった。

「それで、記念式典の時にはエリオット様が聖獣を肩に乗せて……」
「まあ! アドレイド様はホワイティ様をご覧になったことが?」

 急にセアラが前のめりになったので、アドレイドはぎょっとしてたじろいだ。

「え、ええ。あるわ。真っ白のフクロウよ。エリオット様が令嬢に囲まれていると、ひょっとやってくるの。まるで牽制しているみたいに。エリオット様の婚期が遅れたのは、絶対そのせいよ。仲良くなる前に、聖獣様が邪魔をしに来るんだもの」

(う、羨ましい……っ)

 セアラには全然姿を見せてくれないのに。牽制でもいいから、姿を見せてほしい。

「ホワイティ様はとても素敵なんでしょうね。まるで夜の月のように淡く光っているんじゃないかしら」

 昔、見たことがあるとはいえ、すでに記憶はおぼろげになっている。ほう、とため息をつきながら、今のホワイティを想像して思いを馳せると、アデライトは人ならざるものを見るかのように眉を寄せてセアラを見つめる。

「聖獣の話はいいのよ。あなた本当に大丈夫? 王太子妃になるって、簡単じゃないのよ。この国の女性たちをまとめ上げなきゃいけないの。できなければつぶれていく……そういうものなのよ」
「そ、それはそうですね」
「覚悟があるようには、とても見えないわ。大体、いつもぼーっとしちゃって、あなたがそんなだから弟だって……」
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