スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する
プロローグ
――最近、私は想定外の出来事にとても困っている。
「七海」
名前を呼ばれて見上げた先にある端整な顔に、思わず息をのんだ。
そこにいるのは葉室朔也――息子である朔太郎の父親だ。
それなのに、今、父親という肩書きがかすんで、ただひとりの男性としてしか見えなかった。
百八十を超える高身長にサラサラの黒髪。やけに精悍な顔立ちをしているのはもとからだけど、最近は切れ長の目も、凛々しい眉もすべて格好よく見えてしまう。
なぜか目を逸らせずにいると、ぐっと感情があふれて、代わりに目の前が滲んで視界がぼやける。
どうしてこうなっちゃったんだろう……。
彼とはお付き合いの末に結婚したわけではなく、お見合いの場で初めて出会った。いわゆる会社の利害が絡んだ政略結婚だった。
それでも私は彼に恋心を抱いて結婚を選んだ。
すぐに妊娠して出産したら、もう彼への恋愛的な好意は薄れて、言うなれば〝子育ての大事なパートナー〟になった。
彼はいつだって静かで、温かくて、穏やかで、素敵なパパ。
私は彼と家族でいられるだけで十分のはずだった。
――そのはずなのに今はおかしい。
「七海」
名前を呼ばれて見上げた先にある端整な顔に、思わず息をのんだ。
そこにいるのは葉室朔也――息子である朔太郎の父親だ。
それなのに、今、父親という肩書きがかすんで、ただひとりの男性としてしか見えなかった。
百八十を超える高身長にサラサラの黒髪。やけに精悍な顔立ちをしているのはもとからだけど、最近は切れ長の目も、凛々しい眉もすべて格好よく見えてしまう。
なぜか目を逸らせずにいると、ぐっと感情があふれて、代わりに目の前が滲んで視界がぼやける。
どうしてこうなっちゃったんだろう……。
彼とはお付き合いの末に結婚したわけではなく、お見合いの場で初めて出会った。いわゆる会社の利害が絡んだ政略結婚だった。
それでも私は彼に恋心を抱いて結婚を選んだ。
すぐに妊娠して出産したら、もう彼への恋愛的な好意は薄れて、言うなれば〝子育ての大事なパートナー〟になった。
彼はいつだって静かで、温かくて、穏やかで、素敵なパパ。
私は彼と家族でいられるだけで十分のはずだった。
――そのはずなのに今はおかしい。
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