スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する
ソファから立ち上がり、逃げるように洗面所へ向かった。
歯を磨く手も、気持ちも、どこかぎこちない。
寝室にたどり着いた途端、ため息のような深い息を吐いて、胸に手をやった。
まだドキドキいってる……。
夢に見た相手が目の前にいたから驚いただけ。きっと、そう。
朔也さんはいい父親で、私は母親。それだけなんだから。
首を横に振り、ベッドの真ん中にいる朔太郎の横に身をすべり込ませた。
朔太郎の頭をなでても、目を閉じても、どうしても朔也さんの顔が浮かぶ。
そのせいか、速まる鼓動は治まってくれなかった。