スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する
ハッとして目を開けたとき、視界いっぱいに朔也さんの顔があった。
「え……!」
彼の肩に頭を預けて寝ていたらしいが、いつの間にかふたりの距離は詰められている。
さらに覗き込むようにされていて、心臓が跳ね上がった。
「起きちゃった? すまない、よく寝ているから起こすのに忍びなくて……」
「どのくらい寝てました……!? あ、紅茶!」
いつの間にかカップは手から下ろされ、ソファの前のローテーブルの上にある。
彼は驚くでもなく、ただ穏やかに微笑んで肩をすくめた。
「ほんの数分だよ。大丈夫、紅茶もあと少しだったし、こぼしてはなかったから。でも危ないから手から下ろしておいただけ」
「すみません、本当に!」
「大丈夫だから、気にしないで」
ふっと彼は目を細める。
ふいに朔也さんの瞳と目が合った。さっきまで見ていた夢を見透かされる気がして、慌てて視線を逸らす。
「やっぱり私、もう寝ますねっ」