玄関を開けたら、血まみれの男がいました
「大貫くんさ、ずっと空き巣に入ったこと、私を怖がらせたこと、気にしてるでしょ。それでそんなこと言ってるんだったら、張り倒したいくらい憎い」
 大貫を睨む。
「私、同情とか罪悪感で守られるほど弱くないから」
 だから、私を守りたいなら、私を愛しなさい。
 愛がないなら、守られてあげない。絶対。
 そんな私の視界が大貫の影で真っ暗になる。
 大貫の顔が近づいてきて、私の唇に大貫の唇が重なった。
 静かな病院内。私たちは二人、お互いの熱を確認した。
 大貫の顔が離れて、真剣な顔をした彼が私に言う。
「罪悪感はもちろんある。でも、それ以上に、ただ単純に浅野さんを守りたい。大事だから。二度と傷つけたくないから。世界で一番、大事な人だから」
 睨みつけていた私の顔が勝手に緩む。
 世界で一番大事な人は、悪くない。勝手に笑顔になってしまう。
「じゃあ、守ってもらおうかな。一生」
「じゃあ、喜んで守るよ、一生」
 互いにコツンと額をぶつけた。
 笑みがこぼれる。
 大貫と出会った日、あの数分が私たちの運命を分けた。
 これから私たちは、二人で協力して新しい人生を築いていくだろう。大貫は介護施設を足掛かりに、きっと絵師として大きく羽ばたいていくはずだ。そのときには私も、すぐ隣で大貫を支えたいと思う。
 私たち二人の生活は、まだまだ始まったばかりだ。
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