完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 私が馬鹿じゃなくて、株価や為替について語るような賢そうな女だったら彼に目を付けられずに済んだのだろうか。
(もっと、真面目に勉学に勤しめば良かった⋯⋯)

「私の事をまた殺すの?」
 自分が涙声になっている事に気が付く。痛いのも苦しいのも嫌だし、また時を戻れるかも分からない。
「そんなに怯えないでよ。ただ、もっと凛音が正直になるように少し厳しく躾けるかな。僕は思った事は正直に言う君が好きだから。僕の前で嘘は許さない」
 流し目で私を見る玲さんの視線は、見つめられると石になりそうな程に恐ろしく冷たかった。
 
「私、嘘なんてついてない」
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