完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

20.蘇る記憶

 非常階段の途中で滑ってしまう。
 私は恐怖でぎゅっと目を瞑った。
(あれっ! 落ちてない⋯⋯)
 私は玲さんにがっしりと支えられていた。
 着痩せして見えるが、彼はとても体を鍛えている。
(あれっ? 今、イカガワシイ記憶が脳裏に⋯⋯)

 私が玲さんから慌てて離れようとすると、いつの間にか横抱きにされていた。
 まさか、また「アバズレが!」とか言われて振り落とされるのではないかと怖くなり彼にしがみつく。
 私の不安に気が付いたのか玲さんが優しい声色で私に語りかけてくる。

「大丈夫だよ。凛音、ちょっと痴漢にあってたみたいだね」
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