完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「離してよ!」
 力一杯にHIROの胸を押す。

「もう、私に関わらないで! この際言わせて貰うけど、私は貴方みたいな軽い男は嫌いなの! 役でも私の恋人なんてやらせてあげない!」

 私の強い言葉にHIROがショックを受けた顔をしている。
 私も人の事を言えないが、彼が不倫するような男だとは思ってもみなかった。
 このまま軽薄な彼を知っていったら、応援もできなくなりそうだ。

 私は、ショックで固まるHIROを置いて、非常階段を駆け降りた。
「俺は軽い気持ちでこんな事言ってる訳じゃねーよ」
 後ろからHIROの叫び声が聞こえるが、私は振り返らなかった。

「わっ!」
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