完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

22.恐れが消える時

「玲さんにクルーザーで海に落とされて殺された記憶があるの⋯⋯」
 誰にも言えないような私の激白を聞くなり、兄は場所を鍵のかかっていた自分の部屋に移動させた。
 確かに私の部屋はまだ盗聴されているかのうせいが残っている。

 主人の不在が長かった兄の部屋には一切の生活感がない。元々、兄は非常に神経質な性格なので部屋は理路整然としていた。

 兄は私をソファーに座るように促した。兄の留守中はメイドの掃除も入っていなかったのか、少し埃っぽく感じた。兄も同様に感じたようで、空中に舞って埃を手で追い払っている。兄は軽くため息をつくと、徐に口を開いた。

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