完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 記憶がないが、玲さんは私を2度も殺しているという事だ。兄は非常に真面目で冗談を決して言わない。
 私は二度も私を殺しながら、まだ私の婚約者であろうとする玲さんが怖くなった。

「思い出さなくて良い。凛音と曽根崎玲は側から見たら仲の良い夫婦だった。凛音自身も、まさか冷静沈着な夫が衝動的に自分を刺すとは思っていなかったのだろう。きっと、凛音の脳が心を守ために恐怖の記憶を封じている」

 兄は私の瞳をじっと見つめ髪を撫でながら宥めるように語り出した。
 私を見捨てたと思っていた兄の変わらぬ優しさに涙が止まらなくなる。
 

「お兄様は全部覚えているの?」
 私の声は驚くぐらい掠れていた。
< 237 / 320 >

この作品をシェア

pagetop