完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「美湖ちゃんのお弁当、今日も珍しい感じ! 私のと交換して!」
 偉そうに彼女に要望しているが、美湖のちゃんのお弁当はいつも母親が作っていて美味しい。私の持ってくる仕出しの弁当にはない愛情が詰まっていて、食べるだけで涙が溢れそうな程に温かい気持ちになれる。

「えっ? いいの? 私のお弁当はまたいつも通り弁当屋の残り物だよ」
「珍しいお味だもの。労働者の汗が滴るような味ってこんな感じなんだね」
 私は今日支給された弁当を美湖ちゃんに差し出し、彼女の極上弁当を受け取った。
 美湖ちゃんの母親は弁当屋をやっているらしく、前日の余り物を次の日の弁当に詰めてくれるらしい。
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