完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 それなのに自分のプライドみたいな何かが邪魔してナイフのような言葉しか口からは出てこない。

「そうなの。HIROって凄いんだよ。きっと凄いスターになるよね」
 私の悪意を浄化してしまうような南野さんの澄んだ声と瞳に心臓が止まりそうになった。

「うん⋯⋯私、HIROを応援してる⋯⋯」
 私は南野美湖の前では、何とか虚勢を張らずに済む自分を見つけた。
 その日以来学校に来ると、自然と彼女にだけは挨拶をするようになった。
 私と彼女はいつの間にか友達になっていた。


♢♢♢

 あれから2週間、私と美湖ちゃんは今日も屋上でお昼を食べている。

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