完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 玲さんの本音が何であれ、彼に寄り添ってみようという気になっていた。

 「海なら道路みたいに混雑はしないから良いかな」

 私が素直に応じると、玲さんは再び穏やかに微笑む。
(本当に怖いくらい綺麗な顔⋯⋯)

 クルーザーに乗り込むと、本当に世界に2人きりと言うくらいの場所まで移動してきた。花火大会があるのならば、周囲に屋形船とか浮いてそうなのに見当たらない。

(ここって本当に東京湾? 外海まで出てきてない?)
 海も真っ暗、空も黒くて境目が分からなくなりそうだ。波のうねりと微かな白い飛沫が恐怖を駆り立てる。

 玲さんがクルーザーを停めた。
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