敏腕自衛官パイロットの揺るがぬ愛が強すぎる~偽装婚約したはずが、最愛妻になりました~
 「航空機や戦闘機を撮影した実績はないんですけれど……」


 それを専門にしたカメラマンにお願いしたほうがいいのではないか。


 「それを承知でお願いしています。じつはお恥ずかしながら設立したばかりの小さな出版社のため、予算的な問題がありまして」


 田村は言いにくそうに打ち明けた。
 専門性の高いカメラマンは、たしかに撮影料は高額になるかもしれない。


 「もちろん坂下さんのご都合や金額のすり合わせは必要だとわかっています。東松島市にお住まいでいらっしゃいますよね?」
 「はい、そうですね」
 『空の写真が得意だと書かれていたので、これはぜひお願いしたいなと思った次第です』


 ホームページにはこれまでの仕事実績などのほかに、アピールポイントとしてそう書いている。
 そこを目に留めてくれたのは素直にうれしい。


 「ちなみに予算はおいくらで考えていますか?」


 彩羽の質問に田村が提示した金額は、予算が少ないという前振りから彩羽が想像したものより多かった。普段、彩羽が引き受けている仕事と比べても引けを取らないものだ。


 『お近くにお住まいですし、前向きに考えていただけるとうれしいです』


 ブルーインパルスはもちろん、飛行機や戦闘機を被写体にした経験はないが、せっかく舞い込んだ空に関連する仕事。引き受けないわけにはいかない。


 「ぜひやらせてください」
 『そうですか! よかった。ありがとうございます』
 「いえ、こちらこそありがとうございます」


 数多のカメラマンの中から選んでもらえた喜びに包まれる。
 航空祭ではブルーインパルスの航空ショーとライダーをメインに撮影してほしいとのこと。十月に出版される月刊誌で特集を組むのだとか。
 エッセンシャルブックスは趣味や知識に必要な、専門性の高い実用書を主に出版しているという。まだ駆け出しのため、今後はカメラマンも人選を進めて獲得していこうと考えているらしい。
< 13 / 21 >

この作品をシェア

pagetop