敏腕自衛官パイロットの揺るがぬ愛が強すぎる~偽装婚約したはずが、最愛妻になりました~
彼自身も航空祭には足を運ぶそうだが、取材で忙しなく、彩羽とは別行動になるという。
締め切りや契約、写真の送付に関する連絡事項を話し終え、電話を切るタイミングで彩羽が不躾な質問をする。
「失礼を承知でお尋ねしますが、田村さんは下のお名前はなんとおっしゃいますか?」
話し方や口調がどことなく元彼に似ているため、最後に確認しておきたかった。
『僕ですか? 恭平ですが……?』
ドキッとした。元彼と同姓同名だ。
「田村恭平さん? 以前は新聞社にお勤めじゃなかったですか?」
『ええ、そうですが、なぜそれを……?』
やはりそうだった。電話の向こうから困惑する様子が伝わってくる。
「彩羽です」
『えっ……彩羽? いや、だけど名字が。あっ、そうか、結婚したのか』
「ううん、結婚はしてないよ。両親が離婚したから母の旧姓になったの」
知り合いだとわかり、お互いに口調がフランクになる。
『そうだったのか。彩羽が空好きなのも、大学入学前まで東松島市にいたのも知ってたけど、まさか帰郷してプロカメラマンになってるとは。たしかに声はちょっと似てると思ったけど、ホームページには名前が載ってなかったし。電話番号も違うよな?』
「うん。心機一転して変えたから。私も声が恭平くんと似てるなって思って。名字も同じだったし。でも勤め先が違うからどうなんだろうと思って聞いてみたの」
『彩羽と別れて少しして新聞社は辞めたんだ。拘束時間が長くてプライベートな時間をまったく持てなかったしね』
「それじゃ今は自由時間があるのね」
『やっと人間らしい生活ができてる』
恭平の言葉にふたり揃って笑う。
仕事を通して知り合った同い年の恭平との交際期間は、およそ一年半。当時、新聞社で社会面を担当していた恭平と広告宣伝会社に勤めていた彩羽は互いに多忙を極め、すれ違いが続いた結果、別れを選んだ。
彩羽が東松島市に移り住んだのは、それからしばらくしてから。別れが直接の原因ではなく、彩羽も恭平のようにこのままではいけないと危機感を覚えたのが大きい。
締め切りや契約、写真の送付に関する連絡事項を話し終え、電話を切るタイミングで彩羽が不躾な質問をする。
「失礼を承知でお尋ねしますが、田村さんは下のお名前はなんとおっしゃいますか?」
話し方や口調がどことなく元彼に似ているため、最後に確認しておきたかった。
『僕ですか? 恭平ですが……?』
ドキッとした。元彼と同姓同名だ。
「田村恭平さん? 以前は新聞社にお勤めじゃなかったですか?」
『ええ、そうですが、なぜそれを……?』
やはりそうだった。電話の向こうから困惑する様子が伝わってくる。
「彩羽です」
『えっ……彩羽? いや、だけど名字が。あっ、そうか、結婚したのか』
「ううん、結婚はしてないよ。両親が離婚したから母の旧姓になったの」
知り合いだとわかり、お互いに口調がフランクになる。
『そうだったのか。彩羽が空好きなのも、大学入学前まで東松島市にいたのも知ってたけど、まさか帰郷してプロカメラマンになってるとは。たしかに声はちょっと似てると思ったけど、ホームページには名前が載ってなかったし。電話番号も違うよな?』
「うん。心機一転して変えたから。私も声が恭平くんと似てるなって思って。名字も同じだったし。でも勤め先が違うからどうなんだろうと思って聞いてみたの」
『彩羽と別れて少しして新聞社は辞めたんだ。拘束時間が長くてプライベートな時間をまったく持てなかったしね』
「それじゃ今は自由時間があるのね」
『やっと人間らしい生活ができてる』
恭平の言葉にふたり揃って笑う。
仕事を通して知り合った同い年の恭平との交際期間は、およそ一年半。当時、新聞社で社会面を担当していた恭平と広告宣伝会社に勤めていた彩羽は互いに多忙を極め、すれ違いが続いた結果、別れを選んだ。
彩羽が東松島市に移り住んだのは、それからしばらくしてから。別れが直接の原因ではなく、彩羽も恭平のようにこのままではいけないと危機感を覚えたのが大きい。