万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
「君の名前は?」
「ミア・テシロです」
「ミア。ありがとう」
 にこっと笑う彼に、ミアはどきっとした。ぶっきらぼうで愛想悪く見えた彼が笑うと、とんでもなく素敵だ。

「こちらこそ、ありがとうございます。あの、片付けに行きますので失礼します」
 ミアは頭を下げて、皿を小川で洗い、ついでに干していたフライパンを手にした。
 そのとき。
 フライパンが勝手に動き出し、ひっぱられたミアはたたらをふんだ。

「うあ!?」
 悲鳴ともつかない声を上げ、フライパンにひっぱられる。その先にいるのはアルバ。
「ぶ、ぶつかる!」
 慌ててフライパンを引っ張ろうとするが、制御できない。

 フライパンがそのままアルバの頭を目がけて動いた。
 このままじゃ殴っちゃう!
 そう思って焦ったときだった。

 カーン!
 甲高い音がして、フライパンがなにかを弾いた。

 カン、カーン!
 続けて響いた音によく見てみると、飛んできた矢が弾かれて地面に落ちていた。

「矢!?」
 見慣れないそれに驚愕していると、アルバが護衛の男性たちに囲まれた。

 エルベルトは矢の飛んできた方向へ、さっと駆けていく。
 護衛たちはアルバを馬車に乗せたのち、とりかこんで剣を抜く。
 フェルギーニ夫妻はなにが起こったのかわからないままにおろおろしていた。
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