万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
結局、襲撃者はわからないままだった。
ピクニックは中止となり、アルバたちは先に撤収し、ミアたち使用人は片付けを行う。
帰りの荷馬車の荷台で、ミアはしげしげとフライパンを見つめる。
このフライパンは、勝手に動いてアルバを守ってくれた。
最強って、もしかして料理以外にも最強なのだろうか。
武器として考えた場合に、フライパンはけっこう有効な気がする。打撃武器としても盾としても使えそうだ。
このフライパンがどこまでなにをしてくれるのか、ミアにはまだわからない。
でもまあ、今後は武器で使うことはないよね。フェルギーニご夫妻のところで働いて生きていくんだから。
そう、生きていく。天白美愛の知り合いが誰もいないこの世界で。
荷馬車に揺られながら、ミアはフライパンをぎゅっと抱きしめた。
屋敷に戻ると、ミアはフェルギーニ夫妻にリビングに呼ばれた。
なんだろうかと部屋に入った直後、少年が走って来てミアに抱きついた。
「ありがとう、助けてくれて!」
顔を上げた少年のきらきらした笑顔が眩しくて、ミアは目を細めた。
「アルバ様。お守りできて嬉しいです」
「そなたの名は?」
「ミア・テシロです」
ミアはしゃがんで目線を合わせた。
「ミア! 料理がすごくおいしかった。僕のお嫁さんにしてやろう!」
少年の言葉に、ぶはっとミアは噴いた。