万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
「もし実現したら大出世だわね」
 カーラがころころと笑う。
 宮廷料理人で大出世ということはまさか。
 ミアはもやもやと疑念を抱く。

「どうぞまたおいでくださいませ。いつでも歓迎いたします」
 カーラが言うと、アルバは顔を輝かせた。
「また来る! すぐ来る!」

「安全が確保されるまではダメです」
「けち!」
 ぷいっと横をむく様に、エルベルトは注意する。

「王族たるもの、感情を剥き出しにしてはなりません。平静を装い、相手に考えを悟らせないようにするのですよ」
「王族……!?」
 ミアは顔をひきつらせた。宮廷ってやっぱり王宮なのか。

「知らなかったのか?」
 エルベルトが尋ね、ミアは頷く。
「身分の高い方としか……」
「ごめんなさいね、言えば緊張すると思って黙っていたの」
 いたずらが見つかったかのように、カーラがくすっと笑う。

 なにか失礼はなかっただろうか。この世界は平民が王族に話しかけても大丈夫なのか。というか私、王子に求婚された!? あ、もしかして王族だから命を狙われたの!?

 動揺しておろおろするミアに、エルベルトが苦笑を見せる。
「アルバ様、まずはミアにはなにか褒賞をあげましょう。機会があればまた来られるようにしますよ」
「約束だよ!」
 アルバの声に、エルベルトは優しく微笑を返した。
 仲がいいんだなあ、とミアもまた、ほほえましくふたりを見ていた。
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