万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
 周囲からの風当たりはきつい。自分は人に厳しくできる本当の優しさを持っているが、誰ひとりとしてそれを理解しない。それでもがんばって厳しくしてあげた。

 なのに、天白美愛は反抗して言い返して来た。
「毒を吐くのをやめてください。みんな萎縮して業務に支障が出ています」
 親切を理解しない頭の悪さに腹が立つ。だから徹底して美愛を教育しようとした。
 なのに書類にはミスがなく〆切をやぶることもないから仕事上の注意はできない。

 コンビニ弁当ばかりだったから、それを指摘してやった。
「そんな毒みたいな弁当ばかり食べてると早死にするわよ」
「国の基準を守って作られているものだから大丈夫です」

 言い返すなんて、生意気でしかない。
 だからわざと伝言を伝えなかったり、机にお茶をこぼしたりして罰を与えた。
 そしたら課長に呼ばれた。後輩いじめが目に余る、と注意されたのだ。

 言いつけたんだ、と腹が立った。親切をいじめと解釈するなんて、あいつは性格がねじ曲がり過ぎだ。
だから残業を押し付けてやった。
 定時で退社してマッチングアプリで知り合った男性と飲みに行くが、不細工だった。男のくせに写真の加工してんじゃねーよ、と思ってご飯だけおごらせて帰った。

 みんな私の価値をわかってない。正当に評価してくれる人がいない。不満は募る一方だ。

 電車を降りて駅を出ると、前の道が騒がしかった。
 人だかりの先にはパトカーが何台も止まっていて救急車もいる。マスコミのカメラもあって、エリカは興味津々で近付いた。
「人がひかれたって」
「すごい血」
「猫を助けようとしたらしいよ」
 バカなやつ。彼女は内心でせせら笑う。猫ごときに人生を終わらせるなんて。偽善者に相応しい末路だわ。
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