万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
 テレビカメラに向かって、リポーターが話し始める。
「ただいま現場に来ております。先ほどもお伝えしましたように、事故当時、そばをパトカーが巡回してまして、すぐに対応を行いました。事故を起こしたのは指名手配を受けていた人物で、その場で逮捕となりました」

 そんなことってある!?
 彼女は目をきらめかせた。偽善と悪が同時に成敗される現場なんて見たことない。
 スマホを出して現場を撮影しようとするが、人垣にはばまれてまったくなにも撮影できない。

 よく見える場所はないかとぐるっと見回す。
 そして、近くに建つ廃ビルに目をつけた。あの非常階段からならよく見えそうだ。
 立入禁止の札を無視して入り込み、かんかんと音を立てて階段を上る。

「ばっちり!」
 彼女はスマホを取り出し、踊り場から現場を撮影した。
 もっといいアングルにしたいと身を乗り出したときに柵がはずれて落ち、彼女自身も地面へ落下していく。

「きゃあああ!」
 悲鳴に、多くの人々がこちらを見るのがわかった。
 なに見てんのよ、あんたたち!
 怒りに全身がかっとなったのが、最後の感覚だった。

 そうして、目が覚めたらここにいたのだ。
「私はお前に頼みたいことがあって魂をここに呼んだ」
 なに勝手なことしてんのよ、と思って神をにらむ。
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