万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
「お前には聖女としてこの世界を救ってほしい」
「聖女!?」

「この世界は欺瞞に満ちている。偽善でうわっつらをとりつくろい、本当の心をなくしてしまった。私はみなに本当の心をとりもどしてもらいたいと思っている」
 語る声には嘆きがあった。
「お前は前世で自分に正直に生きていた。これほど私の聖女に相応しい者はいない」

 エリカは目を輝かせた。
 やっとまともに自分を評価してくれる人……いや、神がいた。自分の良さは人間ごときには理解できないものだったのだ。

「お前には毒のスキルを与える。これで世界を浄化してもらいたい」
「ひとつだけ?」

「ひとつしか与えられない。邪神である女神エレオノーラに邪魔されているのだ。あの女は偽善をはびこらせ、人々を苦しめ続けている」
 邪神というからにはさぞかし醜い女神なのだろう、と思う。美貌の彼は世界の浄化を望むのだから善神なのだろう。

「毒なんかよりもっと、浄化らしい感じのがいいのに」
「いや、お前には毒がふさわしい」
 神はくつくつと喉を鳴らして笑った。

「見よ、この者は今、命が付きかけている」
 神が手をかざすと、その先に映像が現れた。ベッドで苦しそうにしている少女がいる。十代後半だろう。ふわふわの金髪が美しく、緑の瞳がエメラルドのようだ。

『どうして私がこんな目に……』
 少女はうわごとのようにつぶやいている。
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