万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
信号を待っていたとき、猫が飛び出した。そこへ車が猛スピードで来て、考える間もなく飛び出していた。
「あなたは私をかばって、死んでしまいました。ごめんなさい」
神も謝るんだな、と美愛はぼんやりと思う。神が神ですって名乗ると人間が「人間です」っていう感じするけど。そんなの二十九歳になるまで考えたこともなかった。
「あちらの神様にお呼ばれしたから猫になって遊びにいったんだけどね。帰りに道路に飛び出しちゃって。信号とか車とか、私の世界にはないものだからどうにも慣れなくて。実際、ひかれても死なないんだけど」
それでは自分は死に損だ。あと、自分をひいた人がかわいそうだ。罪になってなければいいのだけど。いや、牢に入らなかったとしても罪悪感を背負って行かなくてはならないのはきついだろう。せめて逃亡犯などの悪人が自分をひいて、それがきっかけでつかまっていたなら死にがいがあるだろう。
思ってから「死にがいってなんだ」と自分に突っ込む。
「お礼に私の世界で転生させてあげるわ」
「はあ……」
夢を見ているのだろうか。スマホで読んだ小説の影響なのか。今はまだ電車の中で寝ているのだろうか。
「あっちで生き返らせるのが筋かもしれないけど、あっちの神様に断られちゃったのよね。私はこっちの世界でしか奇跡を起こせないし、サービスでひとつだけほしいものあげる」
「ひとつだけ……」
「何回でも願いを叶えられるようにっていうのはダメよ」
先に釘を刺されて、美愛は迷う。
「どういう世界かもわからないし、急にそう言われても」
「普通よ、普通。この世界で生きていくのに必要なものがいいんじゃないかしら」
「あなたは私をかばって、死んでしまいました。ごめんなさい」
神も謝るんだな、と美愛はぼんやりと思う。神が神ですって名乗ると人間が「人間です」っていう感じするけど。そんなの二十九歳になるまで考えたこともなかった。
「あちらの神様にお呼ばれしたから猫になって遊びにいったんだけどね。帰りに道路に飛び出しちゃって。信号とか車とか、私の世界にはないものだからどうにも慣れなくて。実際、ひかれても死なないんだけど」
それでは自分は死に損だ。あと、自分をひいた人がかわいそうだ。罪になってなければいいのだけど。いや、牢に入らなかったとしても罪悪感を背負って行かなくてはならないのはきついだろう。せめて逃亡犯などの悪人が自分をひいて、それがきっかけでつかまっていたなら死にがいがあるだろう。
思ってから「死にがいってなんだ」と自分に突っ込む。
「お礼に私の世界で転生させてあげるわ」
「はあ……」
夢を見ているのだろうか。スマホで読んだ小説の影響なのか。今はまだ電車の中で寝ているのだろうか。
「あっちで生き返らせるのが筋かもしれないけど、あっちの神様に断られちゃったのよね。私はこっちの世界でしか奇跡を起こせないし、サービスでひとつだけほしいものあげる」
「ひとつだけ……」
「何回でも願いを叶えられるようにっていうのはダメよ」
先に釘を刺されて、美愛は迷う。
「どういう世界かもわからないし、急にそう言われても」
「普通よ、普通。この世界で生きていくのに必要なものがいいんじゃないかしら」