万能フライパンで王子の胃袋を掴んだ私、求婚を断って無双する!
最初に頭に浮かんだのはフライパンだった。電車で読んでいた小説で、無人島サバイバルにひとつだけ持って行けるならなにがいいか、と主人公が友達と話をしていた。ライターだのナイフだの塩だのと言い合う中、フライパン、という意見が出ていた。火は木で起こせるし、ナイフも石を削ってなんとかなる。塩も海から作れる。が、フライパンは自力では作れないから、というのがその理由で、なるほど、と思ったものだった。
とはいえ、自分は料理が嫌いだ。父親にハンバーグが崩れたのをバカにされて以来、料理はしていない。いつもコンビニ弁当か外食ですませていた。
が、異世界ではそうも言っていられないだろう。
「じゃあ最強の深型フライパン。煮る焼く茹でる、炒める揚げる、なんでもござれで焦げ付かない。これすごく大事! なに作っても美味しくなって、毒草とかの毒は解毒して、石とかの食べられないものは自動でよりわけて、火がなくても調理ができて、調味料なしでも自動で調味される最強のフライパン!」
「変わったものが欲しいのね。ほかの人なら魔術とか異能とか答えるのに」
あ、しまった。自分もそう答えればよかった。が、もう遅かった。
「じゃ、フライパンと一緒に、いってらっしゃーい!」
女神が手を上げると、光が美愛を包んだ。
「ちょ、ま!」
待って、と言い終わる前に、美愛は光に包まれてなにも見えなくなった。
光が収まったとき、美愛はまた見知らぬ場所に立っていた。その手にはしっかり深型フライパンを握りしめている。
目の前には、ヨーロッパ風の衣装を着た人たちがいて、驚いた顔で自分を見ている。
あー、ヨーロッパでまとめると有識者に怒られるんだっけ。まあでもいいや。私には詳しい見分けとか無理だし。
とはいえ、自分は料理が嫌いだ。父親にハンバーグが崩れたのをバカにされて以来、料理はしていない。いつもコンビニ弁当か外食ですませていた。
が、異世界ではそうも言っていられないだろう。
「じゃあ最強の深型フライパン。煮る焼く茹でる、炒める揚げる、なんでもござれで焦げ付かない。これすごく大事! なに作っても美味しくなって、毒草とかの毒は解毒して、石とかの食べられないものは自動でよりわけて、火がなくても調理ができて、調味料なしでも自動で調味される最強のフライパン!」
「変わったものが欲しいのね。ほかの人なら魔術とか異能とか答えるのに」
あ、しまった。自分もそう答えればよかった。が、もう遅かった。
「じゃ、フライパンと一緒に、いってらっしゃーい!」
女神が手を上げると、光が美愛を包んだ。
「ちょ、ま!」
待って、と言い終わる前に、美愛は光に包まれてなにも見えなくなった。
光が収まったとき、美愛はまた見知らぬ場所に立っていた。その手にはしっかり深型フライパンを握りしめている。
目の前には、ヨーロッパ風の衣装を着た人たちがいて、驚いた顔で自分を見ている。
あー、ヨーロッパでまとめると有識者に怒られるんだっけ。まあでもいいや。私には詳しい見分けとか無理だし。