キス魔なカレシ。
 真っ赤になった顔を水道水で洗った後、もう一度教室の前に立つ。

 大丈夫…。きっと、大丈夫だから。

 そう、自分に言い聞かせると教室の扉を開ける。

 自分の席に座ろう。

 私は、緊張しながら教室に足を踏み入れて、自分の席に座る。

 斜め隣の郁弥くんの席を見ると、前を向いて座っていた。

 良かった…。声とか掛けられなくて。

 安堵して、胸を撫で下ろす。

 「あれ?可憐どうしたの?」

 友達である佐藤凛(さとう りん)が不思議そうに言ってくるので、「何でもないよ」と誤魔化す。

 「ふ〜ん。てっきり郁弥くんに用があるんだと思ったよ?」
 「な、なんで!?」
 「だって、郁弥くんの方をじっと見てたから」

 め、目敏(めざと)いな…。

 「そんな事ないよ!凛の勘違いじゃない?」
 「そっか」

 どうやら、納得してくれたようだ。そうして凛と話していると、先生が教室に入ってきた。

「朝のホームルーム始めるぞ!席に着け」

先生の声に従い凛は自分の席に戻って行く。

< 7 / 239 >

この作品をシェア

pagetop