転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 私にとってノエル・べサリオは、疫病神のような存在だ。
 不幸を運んでくる死神。
 絶対に関わりたくない。
 そう、思うから……。

「君の意思は尊重したいが、生憎時間がない。あの女は自分が望めば、なんでも思い通りになると勘違いしているからな」

 あの子はディルクさんと結婚したい。
 だけど彼は、自分以外の手を取るつもりはないと言った。
 私は今すぐには信じられないと、差し伸べられた指先を拒んでいる。
 こんな状況では誰の想いも成就しないまま、一方通行が続くだろう。

「長い時間をかけてゆっくりと心を通わせた直後、この間のように関係を破壊されては堪らない」

 手酷く突き放したはずなのに、ディルクさんは己に私が心を開くと信じてくれた。

「猶予は3日だ。よく考えて、答えを出してくれ」

 長くは待てないと口にした彼は、私の目を見て告げる。

「シエルの人生は、君だけのものだ。誰にも奪わせないと再び心を奮い立たせ、妹に立ち向かえるようになるのを期待している」

 そんなに短い日数で深い悲しみを乗り越え、あの子と戦う力を手に入れられるわけがない。
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