転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「そうかもな。あんたが聖女に選ばれたって知った時、すげー怒ってたし」
「カルトンさんは、幼い頃から殿下と一緒に行動を……?」
「あれ? 聞いてねぇの? あいつとは、幼馴染なんだよ」
「そう、なんですね……」

 ディルクさんはいつだって、大事な情報ばかりを隠す。
 私に対する愛は軽々しく囁くのに、自分の情報はほとんど表に出してくれなかった。

「私、信頼されていないのでしょうか……」

 打ち明けてもらえなかったことが悲しくて、悔しい気持ちでいっぱいになる。
 こんなところで泣いたって、彼を困らせるだけだとわかっているのに……。
 桃色の瞳が潤むのを止められなかった。

「心を許しているからこそ、黙ってたんじゃねぇの?」
「どう、して……」
「嫌われたくねぇんだろ」
「私に…?」
「幻滅されたくなくて、伝えなかったんだろうな。まぁ、その辺は殿下にちゃんと言っとけ。隠されるほうが嫌いになるって伝えれば、もう二度としねぇよ」

 私はカルトンさんから助言を何度も脳裏で反芻し、瞳に溜まった涙を拭う。
< 110 / 249 >

この作品をシェア

pagetop